あるある人狼特殊村:「脱出ゲーム、GMのススメ」

この記事は盛り上げランキング上位のいおさんに寄稿して頂きました!

 

 

どうもこんにちは、いおです。まずは脱出ゲーム紹介記事を

読んで下さった方、有難うございます。ここからはGM向けになります。

脱出ゲームがどんなものか知りたい、プレイヤーになってみたい!

というかここからは余計かもしれません。

GMをやってみたい、詳しくこのルールを知りたい、という方は

ここから先、GMのススメをご覧いただければ幸いです。

ここからは、脱出ゲームをGMとしてプレイする際にあたってのアドバイス、

およびシナリオ作成の私なりのやり方とアドバイスを語らせていただきます。

 

まず、GMとしてプレイするにあたっての、心構えといいますかなんといいますか、

まず何よりも大事なのは楽しめることだと思います。GMもプレイヤーも、

参加者全員がプレイ後に楽しかった、と思えるものが理想といえます。

このゲームは「GM vsプレイヤー」ではなく「GMとプレイヤーが協力して楽しむもの」

と心得てください。難易度の高い問題のほうがクリアした時の達成感は大きいですが、

勝ち負けよりも、まず何よりもクリアすることに重点を置いていただきたく存じます。

疾走感、爽快感も意外と大事な要素です。サクッと挑戦して華麗に脱出!

できれば気持ちいのもそうですが、疾走感が低い問題は、どうしても解読の功績が

暗号に慣れている人に集中しやすく、格差が生まれることも考えられます。

初心者が来やすいフリーマッチにおいては特に気を付けなくてはなりません。

 

加えて、このルールは仕様上迷子になりやすいです。与えられる情報は文字情報のみ、音も、画像もないため急激な状況変化にも気づきにくく、次に何をすればいいのかも忘れてしまいがちになります。

また、暗号がわからなかったり、暗号が解けてもどうすればいいのかわからなかったり、アイテムを回収し忘れたり、一歩間違えば文字通り閉塞感に囚われてしまいます。

 

と、ここまでこのルールの地雷要素を挙げてきましたが、解決方法は簡単です。

こんな時は主人公に働いてもらいましょう。(やりすぎはよくありませんが)

アイテムが見つからない、暗号がわからない!という時にヒントを出したり

次はどうすればいいかを主人公に思い出させる、など。

主人公の雑感を語るようにそれとなくヒントをぼやかせる。これが結構便利なものです。

文章だけで問題を追っているプレイヤーと違い、主人公はその目で見てその肌で感じています。「机に引き出しがある」「風が通り抜ける音が聞こえる」など、その場にいればすぐに気づくようなことは状況を見てプレイヤーに伝えてあげましょう。

主人公は暗号解読でまったく役に立たないので探索くらい馬車馬のように働かせましょう。

 

また、共に探索している主人公を通してヒントを出すことによって

GMにヒントをもらっている」感が薄れ「プレイヤーの力で脱出した」感が増し、

ひいてはクリア後の達成感につながります。

 

また、部屋を建てる前にあらかじめ準備をしておくことも重要です。

 

シナリオの流れをしっかり掴んでおけばスムーズにシナリオが進みます。

自作シナリオなら部屋の様子を簡単にでもいいのでイラスト化しておくことで

把握がスムーズになりますし、ほかの人が作ったシナリオを使用するにしても

部屋の見取り図があるならそれを確認しておきましょう。

また、暗号や情報などはゲーム前にあらかじめメモ帳なりに打ち込んで置き、

適宜そこからコピーしてくるといいでしょう。情報打ち込み中のラグが減りますし

なにより楽です。私は吹き出し内を丸ごとコピーできるラインを愛用しています。

 

さて、ここまで書いてきたGMへのアドバイス、まとめれば

「ぐだるな」

この一言に尽きます。進展もないまま悩むのは1分もあればおなか一杯です。

難しい問題に挑めば解けるまでに長い時間がかかるのは仕方ありません。

ですがすこしずつ謎が解けているならともかく、半数以上がお手上げ状態になったら

助け舟を出してあげましょう。膠着状態は、プレイヤーだけでなく

GMにとってもつまらないものです。

クソゲー化しないためにも、プレイ前の準備もプレイ中の気配りも怠らないようにしましょう。面倒に思うかもしれませんがこればっかりはこのルールに限らず、

特殊村全般に言えるGMの責任です。ただ、ゲーム前は問題に目を通しとく程度で、

ゲーム中に主人公にヒント出させるだけでも出題側の快適さは大きく上がります。

自分が楽をする準備をしておけばそれだけでプレイヤーに楽しいゲームを

提供できるのではないでしょうか。

 

 

さて、ここからはシナリオの私なりの作り方をお伝えします。

正直このルール、他の特殊村と違ってべらぼうに制作難易度が高いと思います。

なので、実際の制作過程を横に添えてシナリオの作り方をお伝えしたいと思います。

(制作過程は一部非常に長くなるのでご注意ください)

 

 その0 モデルを決める。

ぶっちゃけるとこの部分はネタが思いつくのならば無くてもいいです。

ですがそういうアイデアがない、という場合は適当に目に映ったものなんかを

モデルとします。

今回はペット用の扉をモデルにしたいと思います。

さて、シナリオにペットが通る扉がでる、となるとギミックが思い浮かびますね。

 

 その1 コンセプトを決める。

コンセプトとは、早い話が「このシナリオで何がしたいか」です。

鍵を探し出したい、扉以外の脱出口を探したい、連続で暗号を解きたい、など

どういうシナリオにしたいかの大まかな流れをここで決めます。

今回は「ペット用の扉」ということで、動物、とくに猫に頑張ってもらおうと思います。

猫が正解へ誘導したり、逆に猫のせいで難儀したり、というのが面白そうだな、

と不意に思い立ったので、今回のコンセプトは「猫に振り回されたい」にしましょう。

さて、大筋が決まったのでここから肉付けしていこうと思います。

 

 その2 ギミックのアイデアを決める。

ギミックとは「どういうアイテムを使いたいか」「どんな答えの暗号を作りたいか」等です。

コンセプトが決まったので、どこからコンセプトへ向かうか、コンセプト達成に

何が必要か、を考える必要があります。ここが問題作成の第1の鬼門となります。

これを考えるとき、モチーフやコンセプトが定まっていればそれに

関係するものを仕込んでいきましょう。

今回は、モチーフやコンセプトに関係するものを仕込むにあたり、

まず関係するものを洗い出してみましょう。

猫関係で、ネズミ、魚、障子紙、野生、かわいい、しなやか、

マタタビ、猫パンチ、路地裏、肉球、自由気まま、etc.

次に、今回のコンセプトの確認。「猫に振り回されたい」でしたね。

 

しかし、ここで私気づいちゃいます。ペット用の扉で猫が出て行ったら

もう帰ってこぉへんやんけ、と。んじゃあ逃げ場無くすか、とここでペット扉の

奥が行き止まりになりました。しかし行き止まりに猫が行くんなら理由必要ちゃうか?

と思ったためここが猫のお気に入りスポットに決まります。

ここに猫が逃げ込む。さて、これが一体探索の何の役にたつねん、と。

役立たんなら立たせたらええやん、と。ここで脱出用のカギの在り処が決まりました。

ここまでで、ギミックが1つ完成。「猫が逃げ込むことでカギを発見できる」です。

 

一つ決まれば後は芋蔓式です。どこからこれに向かうか、これからどこへ向かうかを

決めていきます。猫が逃げ込むまでにケージに閉じ込めて置きたいので

「ケージに入った猫を助け出す」、ケージのカギが必要なので「ケージのカギを発見する」。

あと折角なので猫に脱出に協力してもらうために「猫にスイッチを踏んでもらう」

さて、これだけあれば十分でしょう。次に進みます。

 

 その3 ギミックを確定し、道具、暗号を決める。

ギミックがまとまれば、いよいよ情報の洗い出しが可能になります。

このあたりから部屋のマップやアイテムの配置などを気にする必要が出てくるでしょう。

いくつか考えたギミックに関連性を持たせながらそのギミックを

成り立たせるための舞台装置をきめます。このステップが終われば

シナリオはほとんど完成となりますが、ここが第2の鬼門です。

その2と同様に、すこし長めに例を挙げて説明しましょう。

ですが、ちょっと長いので先に下のその4 フローチャートを作成するを見てきて

概観をつかんだほうが理解が早いかもしれません。

 

今回決まったギミックのアイデアは以下の4つ。

「猫が逃げ込むことでカギが発見できる」「ケージから猫を出す」「ケージのカギを発見する」「猫にスイッチを踏んでもらう」です。

 

さて、では先に来そうなものから順番に。まずはケージのカギです。

これは適当に暗号かけた箱にでも詰めちゃいましょう。はい、[道具:暗号の箱]決定。

 

さて、どんな暗号を使うか、です。しかし、私ここで思ったのです。

暗号にする必要ないな、と。箱の底が抜けていて実は手に取るだけで中の物が

取れるとしても適当な暗号を箱の前においておけばプレイヤーは

悩んでくれるんじゃないか、なんて。思い付いちゃったものは仕方ないので

[道具:底の抜けた箱]に変更です。でも暗号解けずに詰んでしまうのは可愛そうなので

一計を案じます。要は「底を確認するように誘導する手段」が必要なわけです。

最初は冷蔵庫の前に置いて開くときに気づくとか?なんて考えましたが

ふと思いついたので下のようにしました。

[箱の前には暗号があり、答えをタッチパネルに打ち込め、と書いてある。

プレイヤーはタッチパネルの場所を探し、箱の裏を見る。見ないようなら

主人公に「タッチパネルどこだろ、上面にも側面にもないし」とぼやかせる。]

これでギミック1つ完成。次は猫をケージから出す、のはもういいでしょう

(この辺りからさらに読み辛くなります似たような事の繰り返しなので

その4 フローチャートを作成するまで飛ばしていただいてかまいません。)

 

その次のカギ発見について考えていきます。まず、猫が開通するまで隠しておくために

壁が障子紙にきまりました。そして、猫が巣(お気に入りスポット)にこもるため、鍵をとるには猫を追い出さなきゃ、という筋書きを思いついたのでこのあたりで猫の

行動パターンを決めておきます。行動パターンは下の3つで十分でしょう

  1. 餌を持ち帰る。2、持ち帰るまで食べない。3、自力では捕まえられない

パターン3は猫捕まえてシナリオ終わり、というのを防ぐためです。

このパターンを利用し、餌でおびき寄せてその間にカギを取る、ということにしましょう。

 

[道具:煮干し]が決定しました。

さて、猫を追い出したなら今度は捕まえたくなるものです。ここで次のギミック、

[猫にボタンを押させる]を使いましょう。ケージに猫を入れ直し、感圧式のボタンに

載せてやればいいや、と思った瞬間床に[情報:床のボタン]が出現しました。しかし、猫を捕まえる必要があるなら、猫を捕まえる手段も考えなくてはいけません。さて、実は先ほどの猫のパターンはここのために考えました。うまく猫をケージに誘い込むため、餌でも使いましょう。餌を持ち帰る習性を利用して巣にケージを仕込む、というのはどうでしょう。猫とケージをボタンに乗せながらカギを利用することで2つのロックが解除できて脱出できる。という方向で話を進めます。

長かったですがこれでようやくスタートから脱出までの道のりが

細かい部分まで決まりました。

 

 その4 フローチャートを作成する。

お疲れ様です。ここまでくればもう終わったも同然。あとは見やすいように纏めるだけです。

今回もざざっと纏めちゃいましょう。

  1. 底の抜けた箱からケージのカギを入手。
  2. 猫が隠し扉を開通。部屋のカギを発見。
  3. 煮干しで猫を外に出し、部屋のカギを入手。
  4. 猫をケージに入れなおす。
  5. 猫をボタンの上に置き、部屋のカギを使って脱出。

ながったらしいその3も、纏めてしまえばこの程度です。

思考過程まで書き殴ったからあんなに冗長になったのですが

しかし、プレイヤーには不要ですが、マスタリングをする立場であるGMは、

頭の中でどうすれば良いかを纏めておいたほうが楽です。書き起こす必要はないです。

というか今回みたいに全部書いていたらやってられません。

なのでかんがえる程度、それだけでいいのでやっておいてください。

さて、シナリオ作成はこれで完了、ではありません。あと1工程残っています

 

 その5 枝葉の脚色、ストーリーの作成

ここは肩の力を抜いてしまって構いません。なぜ密室にいるのか、なんて理由、

「目が覚めたら知らない場所にいた」で十分でしょう。

あとはそれを踏まえて村人に配るお題を考えてしまえば終了です。

今回は具体的にどうするのかを省きます。どうなったかは

このシナリオをサンプルとして公開するのでそちらをどうぞ。

 

さて、ではいくつか問題作成する際のアドバイスをさせていただきます。

1つ、ぐだらない。

マスタリングのアドバイスでも言いましたが、ぐだらないようにプレイ中に気を付けるのもそうですが、作成時点からある程度ぐだらない準備をしておきましょう

2つ、難しくしすぎない。

正直達成感、爽快感の最大効率を求めるならグダグダしないぎりぎりまで難易度を上げるとよいのですが、ギリギリを攻めるくらいなら堅実に難易度を下げましょう。問題製作者が考えている以上にプレイヤーにとって問題は難しいものです。これくらいなら簡単かな?と思ったものより1段階難易度を下げたほうが質はよくなります。暗号を混ぜるなら、暗号に関してはさらにもう1段階難易度を下げましょう。特にこれが初めて作る問題だ、というのなら低い難易度から慣らしていくことを強く推奨します。

3つ、情報をシンプルにする。

いろいろな情報が一気に押し寄せるとプレイヤーは処理しきれません。そのため情報の数を減らし、個々の情報もシンプルなものにしましょう。先ほどの問題を例に挙げるとギミックが4つ出てきましたが、これは少し多すぎるくらいです。3つくらいが丁度いいでしょう。

また、暗号、道具、情報もあわせて10個程度に抑えておくとプレイヤーも整理しやすくなります。

4つ、サブルートを考えておく。

ギミックの攻略方法が1つしかないのと2つあるのとでは攻略難易度が大きく変わります。

 

難易度を下げる際には別解を用意するのも1つの手段です。たとえば今回作った問題だと猫をケージに入れなおす部分の難易度が特に高くなっています。ここで、猫のパターンを

暗いところでなら安心して餌を食べる、という風にすれば机の下にケージを置いておいても猫を捕獲できるようになり、捕獲方法に別ルートが発生します。

5つ、ヒントの出し方を考えておく。

 

問題の難易度を下げなくても、詰まりそうなところで予めヒントを用意しておけばスムーズにギミックを攻略できます。

今回の場合、猫を捕獲してボタンを押す、というアイデアの提供や捕獲するときの助けとして猫の行動パターンを知らせるなど救済策をあらかじめ練っておくとよいでしょう。

 

以上です。最後に、暗号やギミックを考えるのは素人の自分には無理だ、

と考えている方。それでよいのです。というかマジモンのプロが作った

脱出ゲームとか絶対プレイ時間長くなります。こういう場においては

慣れていない人が作ったほうが丁度いい難易度になるものです。

 

あと、散々クリアできることを考えろ、だの難易度を下げろ、だの言ってきましたが

高難易度のシナリオを作るな、というわけではありません。

むしろ作ってください。そして私をぜひ招待してください。

ですが、基本フリーマッチでやるというのなら難易度を上げても事故の元、と言う事です。

 

難易度が低い分には大きな事故にはならないのでまずはこちらで慣らしましょう。

 

おまけ

最後にあれだけ長ったらしく書いた思考過程を

考えている間のメモ(をすこし見やすいように書き足したもの)を載せておきます。

 

 

ダラダラ書いていましたが、この程度なんですよね。

コメントを残す